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ロゴルスキー・B&ヴァンクライニンゲン・HJ 犬の正常な胃における場合と急性胃拡張の場合の短鎖脂肪酸と細菌発酵 アメリカ動物病院協会ジャーナル1978年7/8月号第14巻


細菌発酵とガス性膨張が、サルと犬のAGD発生における主要な要因である。これらの動物の常用飼料はほとんどの場合、穀物と大豆が集中した、炭水化物に富む食品である・・・

AGDにおいて細菌発酵が起こっていることを最終的に確認するためには、1)犬の正常な胃の内容物における短鎖脂肪酸の組成を確認すること、2)自然に発症したAGDの犬の胃の内容物における短鎖脂肪酸の組成を確認すること、3)AGDに罹った犬のガスのサンプルと正常な胃からのガスの組成を比較すること、4)正常な犬の内容物における発酵の速度と自然に発症したAGDの犬とそれを比較すること、が必要である。

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実験結果

揮発性及び不揮発性短鎖脂肪酸をガスクロマトグラフィにかけて得たパターンは正常な犬において顕著に一致しており、質的組成にほとんど違いは見られなかった(表1)。

AGDの犬から回収された短鎖脂肪酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸(2例)及び乳酸である。乳酸は、正常な犬の中間値と比較して18倍も高くなっていた(表2)。AGDの犬の乳酸の中間値は、正常な犬の中間値の9倍であった。

ガスクロマトグラフィによって得られた短鎖脂肪酸の代表的パターンが、1頭の正常な犬から(図1及び2)と1頭のAGDの犬から(図3及び4)のものに示されている。

3頭の正常な犬から採取した胃内ガスの組成は大気と類似しており(表3)不燃性であった。AGDの犬から採取したガスの全てのサンプルは可燃性であった。AGDの犬からの胃内ガスの6サンプルをガスクロマトグラフィにより分析した。正常な犬のものと比較すると、二酸化炭素値は高くなっている一方で、酸素値は低くなっていいた。正常な犬の胃内ガスにおいては微量しか存在しない水素が、全ガス量の5%もの割合を占めていた。メタンはどのサンプルからも確認されなかった。

生体外で実施された研究によって確認できたことは、AGDの犬の胃の内容物が発酵する速度は正常な犬のそれより、劇的に速いものであるということだ。培養15分でAGDの犬の全ての例は、正常な犬の例よりもずっと多量のガスを産生した(表5)。AGDの犬の胃の内容物は、正常なものと比較して、約3倍もの速度でガスを発生させていた(表4)。

この研究で調べた新たな15頭のAGDの犬では、8頭においてクロストリジウムに似たグラム陽性桿菌が優位を占めていた(表6)。

議論

正常な犬ではガスも発酵酸も胃の中で蓄積することができない。変化に柔軟に対応して安定を保とうとする胃の生体機能によって、発酵性副産物の濃度は、胃内容物の吸収と蠕動運動を通じて抑制される。この規制機能が適正に働かないとき、短鎖脂肪酸に重大な変化が起こるのである。AGDの犬の場合は胃の規制機能が損なわれ、胃からガスを吐き出すことができない。胃の細菌叢、特にクロストリジウムによる発酵の結果、大量のガス発生が起こるのだと示唆される。

犬の急性胃拡張は、多くの点で、容易に発酵し得る炭水化物を大量に食べることによって起こる反芻動物の胃腸管・道障害に類似している。瘤胃における過剰な発酵が、短鎖脂肪酸の増加、液体とガスの蓄積及び胃腸管・道の運動性の抑制を引き起こす。非常に類似した経過が犬の急性胃拡張でも起こり得る。最も明白な限定要因は、正常な犬の胃の酸性度である。過剰な唾液分泌または胃酸の欠乏によって、急速な発酵を許すほど効果的に胃の内容物が緩衝れるのかもしれない。

本研究における犬は死亡後短時間で調査したAGD発症の例の、一つの大きなサンプルを構成する。これらの犬はサンプリングの前12時間もの間AGDの兆候を見せていた。そして6頭は、サンプル採取の前1時間以上にわたって、目に見える膨張を起こしていた。乳酸と発酵速度における変化は、AGD発症後のみに起こるグラム陽性転換過程の一部である可能性がある。

急性胃拡張発症の最も初期の段階から連続して胃のサンプルを調査することが、この病気に罹った犬の胃の中で起こっている微生物の相互作用を理解するために不可欠である。



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