可哀相な愛犬達(2)

幽門部手術

幽門筋切開術または幽門形成術は、胃内容の排出遅滞あるいは幽門病変が胃拡張・捻転の因子であるというエビデンスが欠損しているにも関わらず、本疾患の矯正中はほとんど慣習的に施工されている。ヴァンスラウス(Van Sluijis)らは、固形の放射性核種で標識した試験食を胃拡張・捻転の概要がある10頭の犬に与えた場合の胃からの排出率は、臨床的に正常な10頭の犬と有意差がなかったことを提示した。  

グリーンフィールド(Greenfield)らは、胃拡張・捻転を有する犬のプロスペクティブな評価において、胃拡張・捻転の外科的治療とハイネケ・ミクリッチ法による幽門形成術を施工した13頭の犬の長期的な転帰は、幽門形成術を施工せずに外科的治療を行った13頭と差がなかったことを明らかにした。しかし、手術直後の合併症の発生率は、幽門形成術を施工した犬で高かった。このような犬で多くの観察された合併症には、嘔吐の誘発、心不整脈、死亡などがあった。全ての犬を硫酸バリウム懸濁液摂取後の透視検査で評価したところ、正常な胃内容排出時間を有していた。

フルデー・ラムステッド法による幽門筋切開術及びハイネケ・ミクリッチ法による幽門形成術は胃内容排出時間に有意な変化をもたらさず、いずれの手技も臨床的に正常な犬において胃内容排出時間を延長する傾向にあった。フルデー・ラムステッド法による幽門筋切開術により、実験的な研究では術後3~4週までに回復したとみられ、その時点の胃腸接合部の内腔径は術前の内腔径と有意差はなかった。ハイネケ・ミクリッチ法や他の手技は、胃の流出阻害を緩和し、胃腸接合部の内腔径を有意に増加する結果をもたらしたが、胃内容排出時間の変化にはつながらなかった。したがって、流出径と胃内容排出の関係はまだ不明である。

これらの研究の所見により強く示唆されるのは、幽門形成術及び幽門筋切開術は胃拡張・捻転を有する犬の外科的治療において、胃流出阻害が証明されないかぎり禁忌であるという点である。胃拡張・捻転を有する犬の治療の外科的プロトコルにおいて、このような手技の包含は、早期試験で報告された高い術後合併症発生率と死亡率に寄与すると考えられる。




                犬は苦しみ、飼い主と獣医師は大慌て・・・







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