ドライ(粉)ドッグフードの大量給与は危険

自然界に生息している哺乳動物が急性胃拡張AGDに罹ることはめったにないと言われている。野生肉食動物のオオカミは、好んで食べるシカやヘラジカなどの大型動物を群れで協力し合って襲い、狩りが成功すると大食漢ぶりを発揮し、1頭当たり9キロもの肉を食べる。また、小型の哺乳類や鳥やトカゲ、ヘビなどのほかに果実も食べることが知られているが、「腹部が膨張しAGDで死亡した」などということは聞いたことがない。

科学研究によれば、ドライ(粉)ドッグフードと、肉と骨の飼料を犬に食べさせて比較した場合、明確な違いが示された。論文にはこのように要約されている。以下抜粋すると、

食後の検査で、市販のドライドッグフードを日に1回給餌されていた犬の胃は他の3グループの犬のものより大きかった。そしてこの観察は、検視で判明したことと十分に相関していた。1日に必要な熱量の総量を1回の市販のドライドッグフードの食餌から摂取するように犬に要求するとき、結果として食後の胃の体積が大きなものとなる。

このことは、食後2時間で実施した剖検の際に測定した胃の内部の食物量とその重さがより大きな数値であったことが示している。また、食後2時間の時点で胃の湾曲の長さより大きな値であったことにも反映されている。

断続的に絶食させたのち満腹するまで食べさせたネズミの胃は、随時食べることのできたネズミの胃より大きく、重くなる。本研究では、毎日23時間絶食させられた後に市販のドライドッグフードを満腹するまで食べた犬の胃は、日に1回肉と骨の飼料を与えられた犬の胃や、どちらかの飼料を日に3回与えられた犬の胃よりも重かった。

映画透視検査法により、市販のドライドッグフードを日に1回給餌した場合、食後すぐに胃の拡大が起こっていたことがわかった。剖検から、その拡大が少なくとも食後2時間続いていたことがわかり、検視時の空の胃の重量測定により、胃組織に慢性的な変化が起こっていたことが示された。移動する節電性複合体と胃が空になることの間に、ある関連した変化が存在するのかもしれないという推定は合理的である。

犬の急性胃拡張は家畜により起こる病気であり、発症の頻度は、最も大切に飼われる純血種の犬において最も高く、自由に走り回り勝手に餌をあさる機会のある犬において最も低い。野生のイヌ科動物は、動物性蛋白質と粗質物(植物の繊維ではなく、動物の屍体の不消化もしくは消化困難な部分)に富み、炭水化物が少なく熱量密度が低いものを食べる。

それとは対照的に犬舎の中の飼い犬は、動物性蛋白質と粗質物が少なく、炭水化物が多くて熱量密度の高い餌を食べさせられるのである。さらに、市販用飼料は、材料を細かく挽き、過熱処理を施し、デキストリンを添加して「消化しやすく」、発酵しやすくして製造される。

そのような飼料のみを毎日1回ずつ与えられると、犬は大量に食べ、そして食後に水や胃の分泌物が加わった時に張れを起こす。これは、肉と骨の飼料を食べた後の消化の状態と対照的である。犬の胃が持つ消化能力により、後者の飼料の嵩は容易に減じるのである。

指摘しておくべきことは、胃が空になる速度は熱量密度に反比例するということであり、また正常な胃の運動にとって、消化しない粗質物の存在が重要であることは、数種の動物において明確に立証されてきた。反芻動物における粗質物の必須の役割は十分に証明されており、粗質物を奪われたニワトリの胃は拡張し、弛緩してしまう。

AGDで死亡した犬は、食後12~18時間経過してなお、しばしばその胃の中に食べたものが全て存在している。つまり、胃を空にする作用の遅れを示しているのである。本論文執筆者達に明らかとなったことは、市販のドライドッグフードを日に1回与えられた犬の胃が拡大し、重くなったことである。このことから、これらの胃がAGDに罹りやすくなっている胃であると示唆できるだろう。


また、この研究において、ドライドッグフードを日に1回与えられていた犬がAGDを発症して死亡した。


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図4 市販のドライドッグフードを日に1回の給餌法を実施したのち激しく膨れ上がった犬の胃の放射線写真



             「犬の胃機能に対する餌と給餌頻度の影響」
         アメリカ動物病院協会ジャーナル 1987年 第23巻





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鼓腸症速報

            給餌後の腹部膨張に注意!

2000年2月14日~2009年6月27日までの間、各ブランド別に単一のドライドッグフードを一定期間給餌した結果、AGD(鼓腸症)の発症が起こっていないブランドは、

ユーカヌバ

アイムス

ブラックウッド

ANF

AGDの発症が起こったブランドは、

サイエンスダイエット(アダルトメンテナンス・グロース)       発症数39回

プロプラン                                  発症数 1回

キャネディ                                  発症数 1回

ロイヤルカナン(パピー・ジュニア)                   発症数 2回
 
※ロイヤルカナンのマキシアダルトでは約3年半、AGDの発症は無かった。

給餌している犬種

グレートデン、マスティフ、ナポリタンマスティフ、ボクサー、ラブラドール、ブルドッグ

2009年7月23日



       日本愛護クラブ設立準備室事務局





ドライ(粉)ドッグフードと細菌発酵

ドライ(粉)ドッグフードは細菌の餌?問題なのは、微粉砕された穀物や大豆の炭水化物。この成分が、細菌を増殖させ、ガスと短鎖脂肪酸の産生を導き、事件を起こす・・・

科学論文にはこう記されている、
これらの膨張型食品(ドライドッグフード)は、成分を粉砕し、水と混合してスープ様の硬さとした後、加熱し、押し出し形成(エクストルーダー)から着色、乾燥及び冷却によって調整されている。この工程で行われる前消化は炭水化物のデキストリン化、すなわち長鎖デンプンから短鎖デキストリン(オリゴ糖)への分解である。胃内のガス産生菌(クロストリジウム・パーフリンジェンス)は、単糖類や二糖類、オリゴ糖、すなわち消化しやすい炭水化物の分解産物を栄養として増殖する。・・・

「急性胃拡張:各動物種の類似点に関するレビュー及びイヌとサルにおける研究」
アメリカ動物病院協会ジャーナル 1974年 第10巻


また文献にもこう記されている、
吸収されなかった炭水化物の過度の発酵は、微生物の過剰増殖やガス(二酸化炭素、水素、メタン)や短鎖脂肪酸の産生を導く。炭水化物の過度の発酵は、鼓腸症、腹部膨満や下痢を引き起こすことがある。炭水化物の消化不良は、微生物発酵の結果、呼気中に増加する水素濃度(呼気中水素分析)を測定することによって知ることができる。・・・

小動物の臨床栄養学第4版

さらに科学論文には、
短鎖脂肪酸濃度が高まる事実により、AGDにおいて細菌発酵が起こっていることは確かに確認できた。AGDから回収された短鎖脂肪酸は、酢酸、ピロピオン酸、酪酸、及び乳酸である。それらは非常に多様な濃度で存在しており、乳酸は、正常な犬の中間値と比較して18倍も高くなっていた。AGDの犬の乳酸の中間値は、正常な犬の中間値の9倍であった。・・・

「犬の正常な胃における場合と急性胃拡張の場合の短鎖脂肪酸と細菌発酵」
アメリカ動物病院協会ジャーナル 1978年 第14巻


科学者は警鐘する、
穀物と大豆を含有する市販の飼料を食べた後でサル、マーモセット、ウサギやイヌはAGDを発症します。製造工程で穀物や大豆を細かく挽き、加熱することでそれらを 「消化しやすくする」 のですが、その結果、それらを与えられた動物にとって消化が容易になると同時に、動物の胃内に生きている細菌がより発酵しやすくなるのです。穀物をベースにし大豆を含んだドライフード製品は水と混ざり、すぐれた細菌学的培地となります。クロストリジウムとともに培養し体温に保てばガスが発生することは実験室でいつでも認識できます。大豆の炭水化物はわずかでも特に発酵性があります。・・・

H.J.ヴァンクライニンゲン博士  「宣言」 より
2006年1月4日









ドライ(粉)フードの製造と抗酸化物質そして賞味期限(4年以上)

ドライペットフードは水分を3~11%含む(ウェットタイプフードの水分含量は60~87%)。平均的なドライペットフードは、平均的なウェットタイプフードよりも乾物量としてではタンパク質、脂肪、及び大部分のミネラルの含量が低い。ドライフードの包装及び輸送コストは、缶に水が持ち込まれないためウェットタイプフードよりも低い。したがって、カロリー当たりではドライフードのコストはウェットタイプフードの3/1である。

ドライ製品のエクストルージョン(押し出し形成)調理工程は、
生の原材料⇒パッチへの投入⇒粉砕⇒前調整⇒エクストルード⇒切断⇒乾燥⇒製造クズの除去⇒コーティング⇒冷却⇒包装

※生の原材料とは、主要な原材料である穀物や肉粉。

※粉砕は、一般に全てのドライミックスを適切な粒子サイズ(一般に荒挽き小麦粉と同程度)になるまで挽いて粉砕する。水と混合を適切にし、エクストルーダーとその加熱処理工程を滞りなく通過させるためには均一な粒子サイズにしておくことが重要とされる。

※乾燥と冷却は、製造直後のペレットは水分含量が高くて柔らかいスポンジ状であるが、これが送風機によって乾燥機に送られる。製品の水分含量を8~10%に落とすことで、カビや細菌の発生を防御し、それによって製品の賞味期限を改善する。

もしも製品が乾燥工程を終了する際に温度が高すぎ、冷却工程が不十分なまま製品を包装容器へ充填すると、結露現象が生じ、カビや細菌の増殖に適した環境を作る。

食品添加物(抗酸化物質)
個々の動物は、事実上全てのペットフード成分に対して有害反応を起こし得る。しかし、タンパク質や食品添加物を含んだ成分に特に注意を向けるべきである。添加物は缶詰タイプのペットフードに最も少なく、半生フード、トリーツ、スナック及びドライフードには非常に多い。

天然抗酸化物質・合成抗酸化物質
最もよく使われている天然抗酸化物質は、トコフェロール、クエン酸、アスコルビン酸(ビタミンC)、及びローズマリーである。トコフェロールはしばしばビタミンEとも呼ばれる。

ヒトに問題を起こすことが実証されている他の添加物は、ペットフードにも含まれている。これには、アゾ色素、非アゾ色素、亜硫酸水素ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、スパイス、アルギン酸ナトリウム、グアガム、プロピレングリコールが含まれる。

これらの抗酸化物質を同じ量を使用した場合、化学合成された抗酸化物質の方が天然の抗酸化物質と比較すると効果ははるかに高い。化学合成された抗酸化物質は製造段階の喪失分が少なく、効果が長期間持続するので賞味期限を延長する。

賞味期限
賞味期限とは、ある製品が栄養学的、微生物学的、物理的、官能的に適正な状態である期間の長さである。ドライ製品において賞味期限が減少する主な原因は酸化である。賞味期限に関して承認された産業界基準は存在しないが、ドライペットフードに関しては12~18カ月、セミモイストは9~12カ月、そしてウェットタイプのペットフードは24カ月という期間が妥当な目安である。


[参考文献]
小動物の臨床栄養学第4版




今日もどこかで鼓腸症 明日はどこでGDV....ワンコが~!(14)

                      ワンコと犬男ちゃん

御用だ!御用だ!編

オイ!犬男!アノ怖い餌屋と話ついたんか?・・・

「ハイ!当社のドライフードを食べた犬は腹部が膨張して死ぬ場合があります。そんなこと認めるはずがないやろ!?」

ワハハハハ!それもそうやなあ、ワハハハハ!・・・

「そこで屯してる犯人捕まえてくれや、可哀相なワンコらのために!」

ヨシ、まかせとけ!上で儲けてるヤツ、作ったヤツ、死ぬのん隠したヤツ、売ったヤツ、インチキ軍団まとめてお縄にしたる!御用だ!御用だ!・・・

「ワハハハハ!大捕り者やな!十手と提灯、用意しとくわ!」

オウ!・・・


     ◆◆◆◆◆◆ 天満奉行・大阪地左衛門尉様、ご出座~ ◆◆◆◆◆◆

「これより、ワンコ殺しについて吟味を致す、一同の者面を上げい!」

            ピン、ピン、ピン、ピン、

「さてエムエム商会、加工餌による大量ワンコ殺しとあるが相違ないか?」

オーノ~!ハンニンワクウキヨ~?クウキ~?GDVクウキアルネ~?

「ワンコが空気で死ぬだと?・・・おうおうおう!寝ぼけたこと言ってんじゃねえぞ悪党ども!この論文を見覚えがねえとは言わせねえぞ、AGD!!!」

オーマイゴ~!タスケテクダサ~イ!ペットフードビッグビジネスヨ~!アナタシュッセアルヨ~!ヨノナカマネーヨ~$シィィィ~~~???・・・

「ん・・・!」

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ほらなあ!日本の奉行所でインチキ軍団はよう裁かんど!?・・・

「ワハハハハ!ソレ当たってるわ!」

餌屋さん、みんなで売れば怖くない!?・・・

「胃袋風船に胃袋破裂!悲惨なワンコの世界!」

なに~!胃胃胃袋破裂?まるで爆爆爆弾やんけ~?・・・

「そうなったら胃袋デッカイ穴開いて、腹の中全部血の海や!」

あああ!血血血の海~?ほんまに爆発すんのんか?・・・

「ワンコなっとった!」

そのワンコどうなってん?・・・

「すぐ死んだ!」



 つづく



ドライドッグフード給餌後の腹部膨張に注意!





摂食に関連したAGDのいくつかの類似点

                                             胃病変

動物       原因とされている食品     産生ガス   AGD   捻転   破裂   虚血

ヒト       野菜、スープ、プディング、             ×    ×    ×     ×
         マカロニ、乳汁、パン、ビール

イヌ       市販の膨張型ドライフード   二酸化炭素   ×    ×    ×     ×

サル       市販の膨張型ドライフード   二酸化炭素   ×    ×    ×     ×

ウマ       穀粒                二酸化炭素   ×         ×
「胃スピロヘータ」 イネ科牧草地                   ×         ×

反芻動物    マメ科牧草地          メタン        ×

「フィードロット鼓腸」 穀粒                       ×

「第四胃拡張」    穀粒                       ×    ×           ×

ブタ         蒸留麦芽粕          二酸化炭素   ×    ×

ネコ                          メタン       ×    ×

キツネ        穀物              二酸化炭素   ×

ウサギ     他汁性の草            メタン       ×
         市販の固形飼料

※胃病変・虚血は虚血性壊死を示す。


「急性胃拡張:各動物種の類似点に関するレビュー及びイヌとサルにおける研究」
アメリカ動物病院協会ジャーナル 1974年第10巻からの抜粋

Van Kruiningen, H.J.; Gregoire, K.; and Meuten, D.J,: Acute gastric dilatation: A review of comp arative aspects by species, and a study in dogs and monkeys. JAAHA 10:294-324, 1974.









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