2013/08/20
日本愛護クラブからの提言
ドライ(粉)フードの対策
ブリーダーならびにAGD(急性胃拡張)の影響を受けやすい犬種に属する大型犬を所有する方は、ドライフードで飼育されている場合は特に注意して下さい。飼育上の取り扱いについて、以下の対策を講じる必要性があることを提言します。
ドライフードは1日1回ではなく、2~3回にわけて与え、決してふやかすことはしないで下さい。食べ残しや水分を含んでいるフードは捨てましょう。また、夏場など、気温上昇には気をつけ、4.4℃~15.6℃の間で保存して下さい。
餌は、給餌後の行動を観察だきるように、誰かが家または犬舎にいるときに与えるようにして下さい。例えば、誰かが家にいるときの朝・夕に餌を与えれば、AGDを初期段階で発見することができ、病院でその日の営業時間内に充分な手当を受けることが可能になります。
前駆症状すなわち、腹部不快感の前兆を示す行動に注意して下さい。例えば、頭を下げてウロウロ歩く、硬直している、ヨダレがでたまま、さらには、吐こうとするが吐けない仕草をしたりする、これは食後の腹部膨満感の徴候を示しています。この時、下腹部両脇腹を押さえると、固く張っていたり、打診すると小太鼓の共鳴音がする場合はAGDに罹っている可能性が極めて高いので直ちに獣医師に診断してもらって下さい。
獣医師と良い関係を築き、時間外や休診日などの対処法、ミランタやシメチコンなどの投与、チューブ挿入、危機が迫った場合における最後の手段として、皮下注射針または他の鋭利な用具で胃内ガスを放出することなど、AGD発現時の応急処置について相談して下さい。
医療的処置が成功し動物病院から戻った後、餌を与えたり水を飲ませたりする場合は特に注意が必要です。全体の摂取量を徐々に通常と同じに戻しますが、発酵しやすいドライドッグフード(大豆入り)や膨張物質を含有した市販の餌を与えないことを重要視します。例えば、鶏肉のササミやミンチ肉といった肉類、あるいはウェットタイプのフードや缶詰などを1日数回にわけて徐々に増やすようにして、水の量も制限することが推奨されます。
数日後、無事回復しても前歴のある犬は将来AGDを引き起こす危険性が高くなりますので 被害時と同じフードの使用を避けるなど食事管理には特に注意して下さい。保証できませんが、当クラブの給餌実績では、ロイヤルカナン(4年間)、ユーカヌバ(4年間)、アイムス(1年間)でいまのところAGDを回避できています。より安全性を求めるのであれば、生肉、手作り食、ウェットタイプのフードまたは缶詰(大豆を含まないもの)などを推奨します。「食べてはいけない!ペットフード大解剖2」が徳間書店から出版されています。本書ではペットフード業界の詐欺的行為が暴露されています。また、愛犬の健康と真心の手作りペットフードなども紹介されていますので御参照下さい。
原因究明への対策
AGD発現時に使用していたフード及び購入時の領収書を大切に保管しておいて下さい。
外科若しくは内科的処置における診断書を獣医師に作成してもらう。死亡した場合は、死亡証明書を作成してもらうか、獣医学部のある大学で病理検査など獣医師と相談して下さい。
可能なかぎり、その時の一部始終をデジタルビデオ等で撮影し映像で残しておく。例えば、腹部の膨張、取り出した胃内容物、開腹時の胃の中の状態などが特に重要です。また、胃内容物の細菌検査の依頼を獣医師に相談して下さい。できない場合は、胃内容物を常にきれいなガラス製のカップか、プラスチック製のシールドカップ(分量100~200ml)に入れて冷凍保存しておいて下さい、検査することができます。
問題解決には至らないと思いますが、声なき被害者とならないために、消費者センターや農林水産省の担当窓口へ電話相談をして下さい。一連の出来事(事件)を報告しておきましょう。
次に、法律の専門家である弁護士に相談して下さい(本来は警察)。できれば、医療問題を専門とする先生が望ましいかと思います。その時ついでに前述のビデオ映像を見てもらい こう尋ねて下さい、「先生、私の愛犬は空気を飲み込み過ぎてこうなったのでしょうか?」
また、当クラブにも御一報下さい、鼓腸症及び不審死・被害者連絡会を設置しておりますので これらの問題(事件)について適格なアドバイスができると思います。
当クラブでは、ペットフードの使用上に関する様々な情報を集めています。
「このフードは安全でいいですよ、」あるいは「このフードでAGDが起こった!」「死亡した!フードが怪しい!」などといったニュースがありましたら御一報下さい。皆様の貴重なご意見を愛犬の生命を脅かす急性胃拡張防止にお役立てすることが、当クラブ任務の一つでもあります。
NPO日本愛護クラブ事務局