日本愛護クラブからの提言

              
                   ドライ(粉)フードの対策

ブリーダーならびにAGD(急性胃拡張)の影響を受けやすい犬種に属する大型犬を所有する方は、ドライフードで飼育されている場合は特に注意して下さい。飼育上の取り扱いについて、以下の対策を講じる必要性があることを提言します。

ドライフードは1日1回ではなく、2~3回にわけて与え、決してふやかすことはしないで下さい。食べ残しや水分を含んでいるフードは捨てましょう。また、夏場など、気温上昇には気をつけ、4.4℃~15.6℃の間で保存して下さい。

餌は、給餌後の行動を観察だきるように、誰かが家または犬舎にいるときに与えるようにして下さい。例えば、誰かが家にいるときの朝・夕に餌を与えれば、AGDを初期段階で発見することができ、病院でその日の営業時間内に充分な手当を受けることが可能になります。

前駆症状すなわち、腹部不快感の前兆を示す行動に注意して下さい。例えば、頭を下げてウロウロ歩く、硬直している、ヨダレがでたまま、さらには、吐こうとするが吐けない仕草をしたりする、これは食後の腹部膨満感の徴候を示しています。この時、下腹部両脇腹を押さえると、固く張っていたり、打診すると小太鼓の共鳴音がする場合はAGDに罹っている可能性が極めて高いので直ちに獣医師に診断してもらって下さい。

獣医師と良い関係を築き、時間外や休診日などの対処法、ミランタやシメチコンなどの投与、チューブ挿入、危機が迫った場合における最後の手段として、皮下注射針または他の鋭利な用具で胃内ガスを放出することなど、AGD発現時の応急処置について相談して下さい。

医療的処置が成功し動物病院から戻った後、餌を与えたり水を飲ませたりする場合は特に注意が必要です。全体の摂取量を徐々に通常と同じに戻しますが、発酵しやすいドライドッグフード(大豆入り)や膨張物質を含有した市販の餌を与えないことを重要視します。例えば、鶏肉のササミやミンチ肉といった肉類、あるいはウェットタイプのフードや缶詰などを1日数回にわけて徐々に増やすようにして、水の量も制限することが推奨されます。

数日後、無事回復しても前歴のある犬は将来AGDを引き起こす危険性が高くなりますので 被害時と同じフードの使用を避けるなど食事管理には特に注意して下さい。保証できませんが、当クラブの給餌実績では、ロイヤルカナン(4年間)、ユーカヌバ(4年間)、アイムス(1年間)でいまのところAGDを回避できています。より安全性を求めるのであれば、生肉、手作り食、ウェットタイプのフードまたは缶詰(大豆を含まないもの)などを推奨します。「食べてはいけない!ペットフード大解剖2」が徳間書店から出版されています。本書ではペットフード業界の詐欺的行為が暴露されています。また、愛犬の健康と真心の手作りペットフードなども紹介されていますので御参照下さい。

                   原因究明への対策

AGD発現時に使用していたフード及び購入時の領収書を大切に保管しておいて下さい。

外科若しくは内科的処置における診断書を獣医師に作成してもらう。死亡した場合は、死亡証明書を作成してもらうか、獣医学部のある大学で病理検査など獣医師と相談して下さい。

可能なかぎり、その時の一部始終をデジタルビデオ等で撮影し映像で残しておく。例えば、腹部の膨張、取り出した胃内容物、開腹時の胃の中の状態などが特に重要です。また、胃内容物の細菌検査の依頼を獣医師に相談して下さい。できない場合は、胃内容物を常にきれいなガラス製のカップか、プラスチック製のシールドカップ(分量100~200ml)に入れて冷凍保存しておいて下さい、検査することができます。

問題解決には至らないと思いますが、声なき被害者とならないために、消費者センターや農林水産省の担当窓口へ電話相談をして下さい。一連の出来事(事件)を報告しておきましょう。

次に、法律の専門家である弁護士に相談して下さい(本来は警察)。できれば、医療問題を専門とする先生が望ましいかと思います。その時ついでに前述のビデオ映像を見てもらい こう尋ねて下さい、「先生、私の愛犬は空気を飲み込み過ぎてこうなったのでしょうか?」

また、当クラブにも御一報下さい、鼓腸症及び不審死・被害者連絡会を設置しておりますので これらの問題(事件)について適格なアドバイスができると思います。

当クラブでは、ペットフードの使用上に関する様々な情報を集めています。
「このフードは安全でいいですよ、」あるいは「このフードでAGDが起こった!」「死亡した!フードが怪しい!」などといったニュースがありましたら御一報下さい。皆様の貴重なご意見を愛犬の生命を脅かす急性胃拡張防止にお役立てすることが、当クラブ任務の一つでもあります。

           

          NPO日本愛護クラブ事務局





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安全を求めて・・・

                      イヌの食卓

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急性胃拡張を引き起こす危険性のある食餌および給餌法の順位


1.ドライドッグフードをふやかして与える

2.大豆を含有するドライドッグフードの常用

3.大豆を含まないドライドッグフードの常用(配合される原材料による)

4.ドライドッグフードに缶詰などを混ぜて与える

5.缶詰またはウエットタイプの食餌

6.生肉や骨、肉中心の手作り食


ドライドッグフードの危険な与え方
ドライドッグフードをふやかして与える給餌法は禁忌であるとの報告があります。これは胃内細菌叢の発酵を極めて受けやすいためだと考えられます。また、多くのブリーダーや愛犬家は、仔犬の離乳食代わりにこの方法を取り入れているようですが、生後約3ヶ月の仔犬にも急性胃拡張が発症し死亡した例があります。さらに、食べ残しの水分を含んだフードも危険であると思われます。

大豆を含むドライドッグフード
大豆を含むドライドッグフードの常用は急性胃拡張を引き起こす危険性があります。この事実は当ブログ上で説明してきました。また、大豆が含有するか否かに関係なく、ドライドッグフードにおける胃拡張捻転GDVの危険率が6.6%という報告があります。

急性胃拡張を避ける工夫
ドライドッグフード(大豆なし)を常用している場合、定期的に絶食させる。例えば、3日ないし4日に一度は食餌を完全に抜き(水は飲めるようにしておく)、胃腸内を空にする。この方法は食物残余を減らすことによって細菌発酵を抑制することができ、急性胃拡張を予防すのには有効です。また、フードの消費節約にもなります。ただし、痩せたイヌ、病弱のイヌはお勧めできません。

ドライドッグフードに缶詰などを混ぜて与える
ドライドッグフードに缶詰やウエットタイプのフードを混ぜて与える給餌法は有効です。発症率が低下したとする報告があります。

缶詰やウエットタイプの食餌
粉状に粉砕してできているドライ製品と違い、缶詰やウエットタイプの食餌は、水分含有率も高く、使用されている原材料の原型をある程度留めており、胃内細菌叢の発酵を受けにくいものと思われます。メーカーの中には急性胃拡張を避けるためにこれらの製品を推奨するところもあります。

生肉や骨、および肉中心の手作りの食餌
動物園のイヌ科動物の食餌は生肉や骨を与えられており、急性胃拡張の発症例はほとんどありません。また、ドイツの有能なグレートデンのブリーダーは長年、生肉を与えており、急性胃拡張は一度も起こったことがないと言っております。これと同様の結果がアメリカ、および日本のブリーダーや愛犬家の間でも言われています。






避けよう!

急性胃拡張の自然予防薬
大型犬を多頭飼いしているブリーダーや愛犬家のイヌの主食は生涯ドライフードという場合が多い。そこで、急性胃拡張という悲劇を作り出さないためにも普段から予防することが重要となります。食餌内容のちょっとした変化や工夫で回避することは可能です。大豆入りのドライフードから大豆なしのドライフードへ変更することは有効ではあるものの完全ではありません。下記の記述(Dr.Van Kruiningen 作成)は、その予防の仕方が記されています。実際にこの方法を取り入れて急性胃拡張を回避することに成功しています。以下抜粋、

_______________________________________

                    イヌの急性胃拡張 1994年5月

(前文省略)

5.
急性胃拡張は避けることができる。家畜化されていない肉食動物は、昼夜を通し多くの種類の食餌を消費し、その胃腸官と両立する食餌物質で生活している。家畜化だけが動物の長い期間の断食後、容易に消化できる炭水化物の大量の食餌を消化することを許したり強制したりする。毎日1回(実際には少量2回でも起こる)、飽食を繰り返すことや、胃の中に骨、軟骨、鱗、毛羽などを欠かすことは疑いもなく急性胃拡張の素因となる。また、混乱した胃の運動性の一因となる。食餌としての栄養価の低い粗質物(植物の繊維でなく、動物の屍体の不消化もしくは消化困難な部分)は、推奨できるただ一つの最も重要な予防薬となるであろう。

栄養価の低い粗質物に刺激されて胃は、発酵を抑える運動性を持っていいる。そして炭水化物と細菌叢は規則正しく流動する。(中略)食餌としての栄養価の低い粗質物は週に2回与えるといいだろう。たとえば骨、1匹の生、または調理したチキン。追加としては、牛の器官や豚の耳、および果物や野菜の料理していない皮やシンなどがそうである。(中略)イヌの急性胃拡張に関する次のようなハイリスクおよびローリスクを示す十分な知識が手元にある。

ハイリスク
大型犬種、大食い、1日1回の食餌、穀物・大豆を含む食餌、色々な種類のない食餌、発酵する胃の細菌叢、異常な胃の機能

ローリスク
小型の犬種、大食いではない、1日の回数の多い食餌、肉と骨の食餌、粗質物の食餌、色々な種類の食餌、発酵の少ない胃の細菌叢、正常な胃の機能



参考文献

イヌの急性胃拡張に関する主要論文

(以下省略)







         胃の膨張はガスですか?空気ですか?

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総合栄養食と称し、穀物が主原料で、いまだに大豆を混入させている素晴らしいアメリカ産のドライドッグフード原材料(トウモロコシ、チキン、大豆、その他)を給餌後に腹部が膨張したグレートデン生命を脅かす急性胃拡張を早期に発見するためには、


          「警告!腹部が膨張して死亡する場合があります」

     このような症状が現れた場合、直ちに獣医師の診断を受けて下さい。

     ■給餌後、吐こうとするが、食べたフードを吐き出すことができない
     ■腹部が張って固く、打診すると小太鼓の共鳴音がする
     ■腹部が膨張してきた

      
                 危険!急性胃拡張の疑いあり!


と、わかりやすくパッケージに表示するべきでしょう。


手遅れとならないために・・・








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ドライドッグフードと鼓腸症との関連性を勉強しています。

これらの情報を大切な愛犬の食餌管理にお役立てください。

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