2009/08/07
GDVの空気嚥下説を検証する
科学的見地からGDVの真相にもう少し迫ってみます犬はどのようにして死ぬまで空気を飲み込み続けることができるのか?
ちまたでは、「GDVの原因はわからない?不明である?複数の要素が複合して?GDVによる胃の膨張は飲み込んだ空気?」などという情報が広く浸透しています。通常、健常な犬の胃の中は、微量の発酵があるものの、ほとんどは飲み込んだ空気です。問題なのは、捻転や破裂を引き起こす急性胃拡張の場合はどうなのか?ということです。
理論上では、胃内のガスは、(1)呑気症による呑み込んだ空気、(2)唾液の重炭酸が混じって形成された二酸化炭素(これについては追って詳述します)、(3)発酵により形成される水素及び二酸化炭素、の3つのいずれかになります。
1977年に、ケイウッド博士が、胃拡張捻転症候群GDVによる胃の膨張は、呑気症、すなわち、嚥下による空気が原因、と結論づける論文を発表しました。以降この空気嚥下説を、グリックマン博士が採用し、自らのGDV研究における理論立ての軸にしています(グリックマン氏の研究は追って詳述します)。
しかし、現実的には、GDVの発生機序を説明する場合、この空気嚥下説では大きな矛盾が生じます。GDVによる胃の膨張は、最大でバスケットボールほどの大きさにまで拡張します。そもそも、犬が他の臓器を圧迫させ死に至るほど、自分で空気を飲み込み続けることはあり得ません。また、これを科学的に説明した論文等も存在しません。これは他の動物種でも言えることです。
つまり、GDVの犬は、いったいどのようにして死ぬまで空気を飲み込み続けることができるのか?これが空気嚥下説の”最大の疑問”です。
また、ケイウッド氏の研究は、使用された7頭の犬の胃内ガスの採取法や研究手法で、科学的な欠陥がいくつか指摘されています。これに対し、ケイウッド氏本人は何ら反証もせず、業界から消えてしまいました。
以降は、空気嚥下説を支持する学者、細菌発酵を提唱し続ける学者の見解を記載いたします。