2013/10/24
<review3.>
下記の記事は、1975年ころ、アメリカで広く読まれていた出版物です。犬の鼓腸症に関することが書かれています。以前にも少し触れていますが、ここにその全文を紹介しておきます。 BLOATこの記事は、ジャッキー・シンキンソンを通じて、ジョイス・グランドルから私に送られてきました。きっと皆さん興味を持たれることと思います。
以下の記事は、「ラブ オーナーズ ブレティン」1,2月号に記載されました(もとは、カリフォルニア州ラメーサにあるソリッドゴールド・ケンネルズ社のS・マックジルによって集めらた情報です)。この記事は、「犬鼓腸症」すなわち犬の急性胃拡張という、近ごろ急速に犬を脅かしてきている重大な病気について書かれたものです。
「ウチの犬は鼓腸症になりませんよ。」とは言っていられません。その病気はどんな犬種のどんな年齢にも起こりうるのです。どうぞ続きを読んで下さい。
1974年に、コネチカット大学の病理学教授で獣医学博士のH.J.ヴァンクライニンゲン氏は、犬の鼓腸症の原因に関する6年半の研究成果を発表しました。この研究は、コネチカット州政府から資金提供をされました。「鼓腸症はただちに手当をされないと犬がショック状態となりその後すぐに死んでしまう緊急を要する病気です。私自身、鼓腸症で3匹の犬を亡くしています」
ヴァンクライニンゲン博士は、アメリカでは毎年36.000頭の犬が鼓腸症で死んでいると言います。「私のグレートデンはみな、鼓腸症の症状が出てから10分以内に急いで獣医師のところに運ばれましたが3匹とも亡くなってしまいました。私のある友人は、彼女のグレートデンに300ドルの鼓腸症手術を受けました。犬はいったん回復しましたが、3日後再び胃が膨張し、獣医師のところに着く前に亡くなりました。犬を亡くした友人の元に残ったものは未払いの300ドルの請求書だけでした。ですからこの病気にかかってすぐ獣医師のもとに駆け付けたとしても犬が生き延びる保証はどこにもありません」
あるサンディエゴの獣医師は、彼の診療所で1ヶ月に37件もの鼓腸症の犬を治療したと言っていました。その病気はかつては大型犬のみがかかるものと思われていました。しかし今では、ダックスフンド、ビーグル、ブルドッグや他の小型犬にも発症し、猫までもがかかった例があります。
ヴァンクライニンゲン博士は、犬鼓腸症の世界的権威です。博士は餌がこの病気の原因だと言います。「犬の急性胃拡張は、胃に棲むバクテリアによって食べ物の成分が急激に発酵し、二酸化炭素や水素などのガスを大量に発生させることによって起こります」
鼓腸症を引き起こす食べ物は、大豆が主原料の、濡れると膨らむドライタイプの餌です。博士はまた次のように言っています。「いくつもの工程を経て加工されたこの種の穀物、大豆製品だけを継続的に摂取することによりバクテリアが鼓腸症を起こしやすくすると考えられます」
博士はさらにこう続けます。「大豆を主原料とした餌を与え続けることによって断続的な嘔吐や胃の捻転が起き、時には胃に穴があくこともあります。それで犬が死なないとしても、次には、胃への血液供給が滞り、呼吸困難と胃腸からの血流が心臓へ戻る経路が閉ざされるため間もなく死亡します」
ヴァンクライニンゲン博士は、「アメリカ グレートデン クラブ」において講演を行ってきました。またニューヨーク市では国内の多くの獣医師団体を対象に講演を行ってきました。博士は6月に行われたモーリス動物基金の講演会(犬鼓腸症のパネルディスカッション)では、特別ゲストとして次のような話をしました。
昨年夏、私はレンタカーを借りて、行く先々でグレートデンを見ながらヨーロッパ中を旅して回りました。私が300~400匹以上のグレートデンのブリーダー達と鼓腸症について尋ねたところ、彼らは何も知りませんでした。たった一人その病気のことを聞いたことがあるというブリーダーがいましたが、彼は、「でも、犬は鼓腸症で死にませんよ。」とあっさり言いました。
実際のところ、アメリカでは、鼓腸症で犬が死んでいますし、しかもその数は増えてきているのです。この病気は15年位前は問題になってなかったようです。40年来ブリーダーをやっている人達は、1960年代になるまでこの病気はあまりなかったと言います。しかし、60年代になると問題視されるようになり、70年代には彼ら犬達にとって脅威となりました。
ヨーロッパではブリーダーは、キブルと呼ばれる、水にふやかして与えるドライフードを使いません。彼らはフレーク状か小粒のものを使います。彼らは乾燥したままのフードに時々肉やカッテージチーズを混ぜて与えます。どちらも成分はほとんど同じです。彼らは大豆を使いません。原材料は小麦、トウモロコシ、オート麦、ふすま、米、醸造用イーストで、大豆は含まれていません。
アルファルファ(草の一種)も、人工着色料も、人工保存料も、膨張するキブルも使わないので、したがって、鼓腸症もありません。私は全ての犬舎から餌のサンプルをもらい、様々な例を調べることができるように保存しています。私は帰りにドイツのフランクフルト空港で、スーツケースの中にドッグフードを詰め込みたかったので、ドレスを3枚とパンツスーツ1着とブーツ1足を捨ててきました。
ロスアンゼルスに着いてルフトハンザ航空のカウンターの税関を通る時、そのドッグフードの多くが検査のために台無しになってしまいました。なぜなら係官は私が何かをドッグフードの中に入れて密輸しようとしていると思ったからです。アメリカのグレートデンは、もし鼓腸症にかかって死なないならば通常7歳くらいまで生きます。一方ドイツのグレートデンは大体13歳か14歳まで生きます。
アメリカにもどると私は国内のあらゆるドッグフード会社にヨーロッパから持ち帰ったドッグフードのサンプルを送りました。どの会社も興味を示しませんでした。一社だけがわざわざ私に断わりの返事をくれました。彼らは現在7種類のドッグフードを製造しており、新たにドッグフードを作るつもりはないとのことでした。
ドッグフード業界は昨年36億ドルの売り上げがありました。大豆の値段は肉の蛋白質の3分の1です。ですからもし昨年36.000匹の犬が鼓腸症で死んだとしたらどういうことになるでしょう。それはお金だけ盗って逃げるようなものです。
私はまた、独自製法のだしを使っていますと宣伝しているようなドッグフードには本当は精製砂糖を使ったキャラメル色素が入っているということがわかりました。それらは犬の歯に粘着して虫歯を作ります。
私は自分の犬に与えるのに大豆を使っていないドッグフードを探しました。以下のドッグフードは原材料の中に大豆を含んでいるものです。
ピュリナ チャンクワゴン(ブリーダーズチョイス、極上)
ピュリナ ビーフ&エッグ(フェドマート 黄袋)
ピュリナ ドッグチャウ (フェドマート 赤袋 独自のだし入り)
ピュリナ パピーチャウ (ゲインズ グレイビートレイン)
ピュリナ 高蛋白質 (ここで言う蛋白質とは大豆を多く含んでいるということ、ゲインズミール、スキッピー)
ピュリナ レバー味 ドッグチャウ (ウェイン)
カルカン (全タイプ ミールタイプなど、フリスキー全タイプ)
サイエンスダイエット (全タイプ、アルファベータ、テイスティビッツ)
フォーメックス (キャスコ)
私は大豆を使っていないドッグフードを見つけることができませんでした。そこで私は、今後一生、米とオートミールを炊いて餌を作るか、ドイツの製法に基づいて大豆や膨張するキブルを使わないドッグフードを自分で製造するか、どちらかの選択しかないと決意したのです。
私は17社に手紙を書きました。それらの会社は希望に応じて様々な材料でドッグフードを作ってくれる個人企業でした。しかし彼らに頼むには最低でも50ポンド(約23㎏)入りの袋で1.000個の注文が必要でした。となると私が払う保管料は恐ろしく高いものになってしまいます。
私は紙袋の製造会社にも電話しました。そこの最小注文数は55.000枚で27.000ドルということでした。仕方なく私は、何か他の方法を探すことにしました。犬は私の仕事ではなく趣味ですからそんなにお金を使うわけにはいきません。私はサンフランシスコにあるカリフォルニア州ペットフード局長に頻繁に電話しました。
ペットフードに関する全ての出願は、食品医薬品局に提出する前に局長の承認を得なくてはなりません。彼は5月にミネアポリスのペットフード会議に行ったということでした。その会場では彼は、ペットフード会社のピュリナ社から来た人達に鼓腸症について聞きましたが、彼らは、鼓腸症は問題でなないと思っているそうです。
彼らによれば、鼓腸症になるには飼い主の餌やりが不注意なだけだ(すなわち餌)ということです。しかし、かつてアメリカ国内のコンテストで優勝したオスのデンは6月に鼓腸症で死にました。メスの1位になったデンも7月に鼓腸症で死んでいます。8月には当時4位のデンが鼓腸症で死んでいます。今年の春には1973年のオスのジャーマンシェパードで最優秀の犬がやはり鼓腸症で亡くなっています。
彼らの飼い主は、私同様きっと注意深く犬の世話をしていたことと思います。私はいつも細心の注意を払ってキブルを30分間水に浸してから犬にあげていました。犬は食前1時間と、食後2時間は休ませました。それでも彼らは鼓腸症にかかりました。それは鼓腸症の情報を得る前の話ですが、その当時でさえ、私は水でふやかしたキブルが乾燥時の3倍の量になることくらいは知っていました。私はペットフード業界は多くの弁解の必要があると思います。彼らは原材料を変える気も利益を減らす気もないのです。
※犬の鼓腸症は、「発酵性を有する市販のドライドックフードが引き起こす事件」もしくは、「起こるべくして起こる事故」と言っても過言ではありません。また、ドライフードを水でふやかして与える給餌法はさらに危険性を高めるので注意しましょう。AGD