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イヌにおける豆類基質と腸内細菌が関与するガス産生

GASTROENTEROLOGY
Copyright Ⓒ 1968 by The Williams & Wilkins
Vol.55,No.4 printed in U.S.A.


RELATIONSHIP OF BEAN SUBSTRATES AND CERTAIN INTESTINAL
BACTERIA TO GAS PRODUCTION IN THE DOG


エドムンド A. リチャーズ Ph.D., F.R.ステゲルダ Ph.D., A.ムラタ M.D.
イリノイ大学生理学および生物物理学部門、アーバナ、イリノイ


原稿受付 1968年1月5日、原稿受理 1968年3月29日
別刷請求先:F.R.ステゲルダ博士
     イリノイ61801、アーバナ、イリノイ大学ブルリルホール524 生理学部門
本研究の一部は米国農業局西部開発部門の補助(参照番号6963-71)による。またイリノイ大学微生物学部門のフランシスM.クラーク教授には本研究の実験手法の開発に多くの有益な示唆を頂いたことを感謝する。
リチャーズ博士の所属先:ベイラー医科大学生理学部門、ヒューストン、テキサス77000


(前文省略)
特定の食物の存在下において消化管内で産生されるガスを質・量ともに顕著に変える微生物が存在する可能性についてはステゲルダとディミック(Steggerda&Dimmick)が示唆している。彼らはヒトにおいて豆類の食物の種類と量を変えた場合に放屁の量と組成がどのように変わるかを調べた。これによると、大量の豚肉と豆類を摂取した場合、回収した放屁ガス中の二酸化炭素濃度が対照のガス非産生食物の場合の11%から51%に増加した。別の実験では、白インゲンのホモジネートを麻酔イヌの生体における十二指腸、空腸、回腸および大腸の各区域に注入し、各区域において高濃度の二酸化炭素および水素が産生されることを記録している。イヌにおける高濃度の水素産生は腸内細菌叢にはメタン生成生物が存在しないためとされている。これらは抗生物質と静菌剤の混合投与で動物を前処置することにより劇的に抑制されることが観察されている。

これらの実験の結果から、豆製品が摂取された場合の鼓腸ガス産生機序としてつぎの2点が推論される。(1)産生ガス量と、抗生物質と静菌剤による微生物の生長抑制との相関から、おそらく細菌が関与している。(2)二酸化炭素産生が高濃度であることから、関与する細菌種はクロストリジウム類であることが示唆される。これはグラム陽性、芽胞形生成の嫌気性菌であり、ヒトおよび動物の小腸および大腸に常在する。

本研究の目的は、上記の推論の論理的正当性の間接的な証明である。先行研究において、ガス産生性の食物摂取によりヒトとイヌの小腸と大腸で産生されるガスの二酸化炭素と水素の濃度が高くなることが観察されているが、これが、小腸と大腸から分離した嫌気性クロストリジウム菌を生体と同一の環境下で試験管内培養した場合にも再現することを示す。また生体内、試験管内のいずれの場合にも、この嫌気性菌の個体数が豆製品の存在下で増殖すること、抗生物質や静菌剤で抑制されることも示す。

材料と方法
実験動物に雌雑種イヌを用い、2週間前に駆虫し、実験前の24時間は絶食させた。ペントバルビタールナトリウム(30mg/㎏)で麻酔し、十二指腸・空腸・回腸の各50㎝および大腸40㎝の区域を準備した。各区域の菌の培養には、まずゼフィランクロリド(4:750)で表面を洗浄し、各区域の上位端付近の腸間膜反対側縁を1㎝切り、ここから滅菌綿棒を挿入して試料を採取した(図1、第1段階)。これらを滅菌した嫌気性チオグリコール酸塩培地に移し、80℃で20分間保って休止期の好気性および嫌気性菌類を殺菌した(図1、第2段階)。これらの管を37℃で水槽に移し、24時間インキュベートした(図1、第3段階)。試験管内におけるガス産生基質存在条件の嫌気性培養実験として、30ccのシリンジ1組を注油潤滑化してオートクレープ滅菌し、これらの半分を、15ccの豚肉と豆、もしくは大豆混合率が高いドッグフードのホモジネートで満たした(図1、第4段階)。これらは市販の豚肉と豆、もしくはドッグフードの1ポンドの缶に脱イオン水を100cc加えてホモジネートして調整した。結果の表記にあたっては、豚肉と豆のホモジネートを「白インゲンのホモジネート」、市販ドッグフードのホモジネートを「大豆のホモジネート」とする。

別個のシリンジに取ったこれらの基質にチオグリセレート嫌気性細菌培養保存液をそれぞれ5cc加え、針の先端に滅菌セラムストッパーをかけた。シリンジを両手の手のひらで回転させて内容物を混合し、吸引口を上に向けて37℃の水槽に浸した(図1、第5段階)。各基質のガス産生開始時刻を記し、ガス産生量を1時間毎に4時間計測した。ガス試料の採取は滅菌した20ゲージの針を付けた20ccの注油潤滑シリンジを用いてセラムストッパーを介して行い、Fisher-Hamilton Gas Partitioner(ガスクロマトグラフィー)で二酸化炭素、酸素、窒素および水素量を分析した(図1、第6段階)。

        「ガス発生におけるイヌ科微生物細菌叢の役割を調べる方法」
chou2.jpg
図1.嫌気性細菌の単離と豆ホモジネート存在下におけるガス産生能を試験するための6段階。

(中略)

結果
腸の各区域において白インゲンの基質に3時間接触させた嫌気性(終期)培養の試験管内ガス産生を比べて示す。腸区域の初期培養試料のガス産生は終期に比べてかなり小さい。初期培養試料の1時間あたりのガス産生は、十二指腸1.8cc、空腸2.0cc、回腸4.3ccおよび大腸11.9ccであった。嫌気性細菌が白インゲンのホモジネートで3時間生育した後の初期培養試料では、十二指腸9.2cc、空腸4.5cc、回腸9.7ccおよび大腸10.8ccであった。ガス組成は二酸化炭素40%、水素53%、窒素6%、酸素2%であり、これは区域によらず同様で、また白インゲンのホモジネートの存在下3時間の前後でも変わらなかった。(中略)

大豆原料の混合率の高い市販のドッグフードにおける嫌気性菌の反応を示す。大豆のホモジネートに3時間接触させた後に採取し、試験管内の滅菌培地で培養した細菌培養試料のガス産生能は各区域とも非常に高かった。発生ガス体積は1時間平均で十二指腸12.7cc、空腸13.5cc、回腸10.2ccおよび大腸14.0ccであった。大豆のホモジネートのほうが白インゲンのホモジネートよりもガス産生量が高かった。(中略)

考察
豆類の食餌が消化管内に導入されると、産生ガス量が増加し高濃度の二酸化炭素および水素が発生する。本研究で得られた結果は、これらが豆の何らかの成分と、小腸および大腸内に常在する嫌気性菌類との相互作用によるものとする仮説を支持するものである。この反応が豆の炭水化物に関連しているのではないかという可能性は、1924年アンダーソン(Anderson)によって既に示唆されており、さまざまな炭水化物の培地で嫌気培養する主として二酸化炭素と水素が発生し、窒素や酸素は少ないことが実験で示された。

この可能性はステゲルダ(Steggerda)らの観察によって支持されており、ヒト被験者に大豆の成分を分画して比較摂取させると、脂質やタンパク質、複合多糖類に比べ、低分子量の炭水化物の場合に最も大きなガス発生量が見られた。このガス産生に寄与が考えられる小腸・大腸の嫌気性細菌には多くの種類があるが、培養条件と熱処理、およびガス産生の特徴(質および量)を考慮すると、相当する菌種はグラム陽性のクロストリジウム・パーフリンジエンス型と同一か、もしくは極めて近縁の種であるものと思われる。予備的に行った実験では、C.パーフリンジエンスを大豆のホモジネートに接触させると、上述の実験で観察されたものと同様の量と組成のガスが産生された。

ページ(Page)らは、グルコースとC.パーフリンジェンスのさまざまな反応において、多くの酵素系を挙げながら、特にエムデンーマイヤーホフーパルナス経路に類似した解糖酵素系に注目している。この反応に小腸内の微生物が関与することは、この反応が抗生物質と静菌剤で抑制されることからも支持される。(中略)

KakadeとBorchersは非加熱の白インゲンの食餌を与えたラットに対するプロカインペニシリンとストレプトマイシンの効果について報告している。彼らは一定の条件下でガス産生が減少することを見出した。クロストリジウム嫌気性細菌が通常のイヌ消化管に常在することはBornsideとCohnによって示されており、クロストリジウム菌数は調査したイヌの85%~90%に存在し、その菌数の分布は小腸もしくは大腸の内容物1gあたり10²~10⁸の広範囲に渡ると報告している。これらの研究者がイヌの胃、回腸・結腸から分離したC.パーフリンジェンスはグラム陽性の芽胞形成性菌種であった。(中略)

本研究は、豆類の存在下において腸内ガスの形成に関与する特定の腸内嫌気性細菌の存在を示唆するものである。この嫌気性細菌の振る舞いは、ヒトおよびイヌの消化管に常住する、グラム陽性、芽胞形成性のクロストリジウム・パーフリンジェンス類に酷似する。薬剤への反応は生体内と試験管内でよく似ており、試験管内の観察結果は生体内の小腸および大腸の環境下のものを再現した。さらに、豆類の注入に続いて起こる嫌気性芽胞形成性細菌の増殖は、試験管内培養とガス産生にも反映されている。この研究で用いた方法は容易であり、ガスを産生する食餌画分のスクリーニングにも役立つ。

要約
1.生体内および試験管内の実験により、小腸および大腸内のある種の嫌気性細菌が白インゲンおよび大豆の製品の存在下においてガス産生と密接な関連があることが示された。

2.試験管内で産生されたガスの組成は二酸化炭素と水素ガスの割合が高く、このガスの産生がクロストリジウム型の細菌の発酵によるものとする仮説を支持する。

3.豆のホモジネート存在下におけるガス産生は抗生物質および静菌剤により完全に抑制される。

4.ガス産生の豆製品を小腸系蹄内に注入すると、粘膜試料に出現する嫌気性芽胞形成性の菌数が顕著に増加する。

5.本研究で用いた方法は、食餌中のガス生成因子の検出に効果的に用いることができる。








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